2020年1月4日土曜日

アメリカとイランの戦争は起こるか


イラン革命防衛隊の精鋭組織に「コッズ部隊」というものがあるのですが、その部隊の司令官であるカセム・ソレイマニ氏が米軍の空爆で死亡したというニュースが流れました



アメリカのトランプ大統領の指示で攻撃がなされ、対してイランの最高指導者ハメネイ師は「激しい報復」を宣言し、両国間で緊張が高まっています

このアメリカとイランの情勢は複雑な様相となっており、分かりやすく背景を説明するのは難しいですが、少し説明してみたいと思います

イランはイスラム教の国なのですが、その中でシーア派という宗派を信じています

中東では同じイスラム教でもシーア派とスンニ派に分かれていて、お互いに仲がよくないのです

キリスト教であればカトリックとプロテスタントの違いのようなもので、かつて両者は激しい争いをしていたことを教科書で習ったかと思いますが、同じ宗教でも宗派が違う者同士ではかえって憎しみ合う事が多いのです

イスラム教は預言者ムハンマドが神の啓示を受けて興した宗教ですが、その後継者をめぐって考えの違いが分かれました

ムハンマドの死亡後に、カリフと呼ばれる最高指導者が立てられるのですが、歴代のカリフを認めるのがスンニ派で、ムハンマドの娘婿でいとこのアリとその子孫こそが正統な後継者だと考えるのがシーア派となりました

世界のイスラム教徒人口のうちスンニ派が約8割、シーア派が1割強を占めるとされています

イランというのはイスラム教でもアリとその子孫を正統と考えるシーア派に属しています

そしてイランは他国のシーア派を支援したり、軍事的に協力したりしています

イランに似た国名で隣国にイラクという国があります

イラクはかつて湾岸戦争でアメリカを中心とする多国籍軍と戦って敗れました

そのイラクでもイランの支援するシーア派武装組織「神の党旅団(カタイブ・ヒズボラ)」が勢力を伸ばしています

そしてこのカタイブ・ヒズボラが昨年末には米国大使館を襲撃する事件も起こしています

アメリカはイラクを戦争で破ったのですが、そのイラク内でイランの勢力が増してきて、反米的な勢力として増えてきているのです

イラク以外にもレバノンでは親イランのイスラム教シーア派武装勢力ヒズボラが実効支配していて、それに対して市民が抗議活動をするなど、情勢不安が広がっています

他にはシリアも内戦が9年間も続いているのにアサド大統領側は権力を維持していますけど、これもコッズ部隊や、レバノン、イラク、アフガニスタンなどから集まったシーア派武装勢力の支援があるため保たれています

このようにイランの勢力は中東に広がっていて、それが争いや戦乱のもとにもなっていたのです

イランによる海外作戦の部隊がコッズ部隊であり、今回殺害されたソレイマニ司令官が重要な人物だったのです

そうした事もあって、今回はコッズ部隊のソレイマニ司令官を排除することで、イランの海外活動を抑えようとする考えがあったのでしょう

いまはイラン内部でも政府に対する抗議活動が活発化してきており、イラン政府も持つかどうかという情勢にあります

イランが報復措置を取るとなると、イラク内でのアメリカ施設への攻撃を強めるなどが考えられますが、全面戦争に向かうまでは出来ないでしょう

アメリカ政府内には、イランへの戦争を肯定する人物もいるでしょうが、トランプ大統領ご自身は、戦争にまで発展する事は望んでいないでしょう

おそらくはこのままイランの封じ込めを行って、政府の転覆など、政変が起こるのを待つ作戦だと思います

私も強硬派に推されることなく、開戦には踏み込まないでいただきたいと思います

イランとの間で戦争が起これば、中国や北朝鮮への圧力は弱まる可能性があります

アメリカとしても両面作戦は避けたいでしょうから、イランと対峙する間は、他の中国や北朝鮮はなだめておく必要が出てきます

それはよいことではなく、今一番重要なのが対中国作戦であり、ここで手を抜かれるとまた逃げられてしまう可能性があります

アメリカはイランと本気で戦争をする気は今のところないでしょうが、場合によっては引き起こされる可能性も出てきます

そうならないようにイランとの火種がこれ以上広がらないことを願います

日本はイランとアメリカとの仲介役を担うべきでしょう

両者の間にたって、調停すべき役割が日本に求められていると思います

今こそ安倍政権の真価が問われる時に来ているものと思います


1 件のコメント:

  1. 安倍さんのお手並み拝見です。
    トランプさんも調停を望んでいることでしょう。

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