2019年12月21日土曜日

経済発展のために必要な資本主義の精神


昨日は資本主義経済が発展していくためには、その精神が大切であることを述べました

カジノなどの浪費を推奨していくと、結局は国民の勤労意欲は落ちていき、経済もよくなっていかないのです

ドイツの社会学者マックス・ヴェーバーが『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』という本を出しています

 

小難しい本なので読まなくてもいいですが、要点だけお話しします

プロテスタントの世俗内禁欲が、逆説的ですが資本主義の精神にあっていたため、プロテスタント国で資本主義が発展していったというものですね

プロテスタンティズムのなかでも特にカルヴァン主義は、禁欲的な考えであり、金儲けを否定する宗教でした

しかし、カルヴァン主義らが、禁欲的に神から与えられた天職に真面目に精を出して働き、その働きが隣人のためにもなり、結果的に「隣人愛」を実施していくことで利潤を生みだしていく事となります

多くの人のためになる仕事をすることは「隣人愛」の実践であり、それはよいサービスを生み、良質な商品の提供や開発に繋がります

そうして禁欲的に天職に打ち込んでいる事が、逆説的でありますが、大きな利潤を生みだしていき、資本主義の発展に繋がっていったという事です

さらに禁欲的に労働にいそしむことで、お金も貯蓄されていって資本の蓄積が進みます

その資本の蓄積が、さらに利潤を生みだすための再投資につかわれ、資本主義は発展していきます

つまり資本主義の発展には、「働くことはよいことであり、それが世のため人のためになり、そうして得られた報酬や利潤は正しいものである」とする考えが、世の中に広まらなくてはなりません

働くのが嫌で、「国や親からの援助で生きていればいい」とか、「食べていく分だけアルバイトでもして食いつなげればよい」とする考えが多くなると、資本主義の発展は止まっていきます

そうした場合には、逆に共産主義や社会主義の方が発展する可能性もあるのです

共産主義や社会主義では国の指示のものとに多くの国民が動かされますので、いってみれば昔における奴隷を使った万里の長城などの建設するようなものです

奴隷たちは働く意欲は無いでしょうが、鞭をうたれたり、食事を抜かれるなどの罰を受けるため、嫌嫌ながらも労働します

古代の建造物には奴隷などを使ったものもあったでしょうが、それが言ってみれば現代の公共事業にあたっており、強制的に駆り出されて働かされるようなものです

共産主義国家では、各自にやるべき仕事が与えられ、それをこなさなければならないため、勤労意欲の無いものを働かせる強制力はあります

ですから計画経済を進める共産主義・社会主義国家が一時的に発展するように見える事もあります

資本主義では各自の自由に任せて経済発展を目指しますが、勤労意欲が減っていくと、経済も衰退していってしまいます

日本のバブルが崩壊する時期にも、「日本人は働き過ぎだ。もっとバカンスを楽しまなければならない」というような論調が多くなりました

経済が発展しすぎてしまい、これ以上の成長は怖くなったのでしょう

そして長い不況期に突入していきます

最近でも政府は、カジノ法案を通したりだとか、プレミアムフライデーといって金曜も早く帰って遊んで金を使うように促しています

もちろん過労死するような環境は見直すべきですが、このように仕事は嫌だからなるべく短くして、遊びに金を使わせるようにしようとすると、日本の経済はこれから益々悪くなっていきます

資本主義の精神が傷ついてしまうからです

政府が間違った方向に国民を導こうとしていないか、注意して見ていなくてはなりません


1 件のコメント:

  1. グローバリズムのなかで、国民国家という概念が薄れていくなかで、自分たちが、日常生活するなかで必要なものを、自分たちで作らず、人件費の安い後進国で生産し、それを日本人が買っていく。このようなシステムは続いていくものなのでしょうか?確かに単純労働は、誰にもできるような簡単なものなのかもしれない。でも、このような仕事こそが、セーフティーネットのような働きをするのではないかなと思います。このような仕事がなくなってきていることが、日本の衰退の原因だと思います。

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