アメリカ大統領選に向けた民主党候補の指名争いで、バーニー・サンダース上院議員が勢いを増しています
アメリカでは、次期大統領選の候補者選びで、民主党から代表者を選ぶ選挙が行われていますが、そのなかで現在のところ、サンダース氏が一歩リードしている状況です
サンダース氏は、前回の大統領選でも、民主党候補の座をめぐって、ヒラリー・クリントンと競っていました
彼は自他ともに認める社会主義者です
アメリカの若者たちの間では、社会主義に対する支持が高まっています
かつてソ連と冷戦を戦った、資本主義の大国アメリカで、社会主義の候補者が有力候補として出てきているのは驚きです
アメリカの若い世代には、ソ連や中国・北朝鮮などの社会主義・共産主義国の問題が、あまり理解されずに、冷戦も忘れ去られてしまっているのでしょう
若者たちがサンダース氏を推奨する背景には、アメリカの高額な大学費用の問題があります
アメリカの若者たちの多くは、大学に行くために、その学費をローンを組んで支払っています
アメリカの大学の学費は、一年で平均四百万ほどです
詳しく見ると、学費に寮・食費を加えた額で一年間で(一ドル110円で計算)、州立大学は21,370ドル(約235万円)私立大学48,510ドル(約533万円)となります
四年制大学に進学したら、平均で約1600万円もの、お金を借金することになります
これだけ多額の学費をローンを組んで進学し、卒業後は返済が何十年も続き、ずっとローン返済に苦しむことになります
さらに卒業してから、家を購入するとなると、さらにローンが必要となり、諦めざるをえない人も多く出ます
こうしたアメリカの若者たちの不満や将来への不安を背景に、支持を伸ばしてきたのがサンダース氏です
彼は、大学の無償化や、学生ローンの帳消しを政策にして訴えています
学生ローンの帳消しというのは、昔の借金をチャラにする徳政令のようなもので、いま学生ローンを組んでいる人全員を対象に、その債務を免除するというものです
対象になる人は全米で4500万人いるとされ、総額1.6兆ドル(約176兆円)にのぼります
サンダース氏は財源について、金融取引への課税で賄う方針を表明しています
具体的には株取引に0.5%、債券取引に0.1%、デリバティブ取引に0.005%の税を課すことで、10年間で2.4兆ドルを捻出すると語っています
もしこんなことを本気でやったら、アメリカは好調な経済から一転、大不況に見舞われれるでしょう
もちろんローンで苦しんでいる人は朗報となるでしょうが、社会全体がそれで不景気になり、勤め先も無くなり、給料も減っていったら、それで苦しくなる人は増大するでしょう
そもそもアメリカの大学の授業料は高額になっているのが問題です
政府が保証して、学生に安易にローンを組ませやくすしているために、大学側は学費を簡単に増加していっている面があるようです
学費を高くしても、政府が保証してお金を貸してくれるから、学生は入ってくるため、大学も学費を高くしていって儲けているわけです
借金の帳消しよりも、ここらへんのシステムの問題点を、改善していった方がよいと思います
ちなみに学費を免除して得するのは、高額所得者層になるという矛盾があります
お金持ちの家は、子どもたちを将来、稼ぎの良い職業につけるため、学費も高い学校に通わせます
具体的には医者になる学校や、弁護士など法律関係の仕事、金融関係に進むものですね
彼らは、たしかに高額なローンを組んでいますが、将来の職場で年収何千万の職業に就きますので、ローンは簡単に返済できます
一方で、実際にローンが払えず、自己破産してしまう人の多いケースは、大学を中退したり、少ないローンしか受けれなかった人です
そうした人は、少ないローンも払えずに、自己破産してしまうケースが多いそうです
彼らにローンをチャラにしたら喜ぶでしょうが、またすぐに少額の借金をしてしまい、破産する事が多いでしょう
学費ローンを一律免除していては、高収入の職業に就く者たちが一番得して、生活に苦しい人には恩恵は少なくなってしまいます
詳しい説明は省きますが、他にもサンダース氏は「メディケア・フォー・オール(国民皆保険)」を提唱していて、もし実現すれば、こちらも既存の銀行や保険会社に厳しい影響を及ぼすことでしょう
さらに彼は、資本家階級と敵対して、富裕税の導入も提唱しています
現在の最富裕層の税率は23%となっていますが、サンダース大統領の誕生となると、米国で最も富裕な人たちへの平均実効税率は97.5%に上ると言われています
彼が大統領になったら、富裕層はアメリカを脱していき、貧しい人たちで富を分け合う社会となっていくでしょう
偉大なるアメリカが、貧しい社会主義国に堕ちていくかもしれません
大丈夫、トランプです。
返信削除でも、勉強になりました。
サンダース氏は過去にもイラク戦争に反対したりと良識のある政治家ですが、メディアも議会も富裕層に牛耳られている現状では大統領に選ばれるのはかなり厳しいと思います。万が一選ばれたら、そのときは本当に世の中が変わる時だ思います。
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