2020年1月5日日曜日

米国人攻撃ならイラン52カ所に報復


アメリカがイランのソレイマニ司令官を殺害して、両国間では緊張が高まっています


これを受けて昨日も記事をアップして、イラク内での米国施設にイランからの攻撃が激しくなるのではないかと書きました

そして実際にイラクのバグダッドで、アメリカ大使館の近くにロケット弾が着弾しました

この攻撃からまもなくしてトランプ大統領はTwitterを更新して、米軍はイラン国内の52の施設を標的にしたと書きました

標的の52という数字について、イラン革命のあった時期に、米大使館で人質になったアメリカ人の数だとトランプ大統領は説明しています

そして米政府はすでに、兵3000人以上を中東に増派する決定をしていますが、この数は戦争を起こそうとするものではなく、治安維持が主目的の増派でしょう

もしもアメリカが本気でイランと戦争するのなら、もっと大規模な増派になっていたはずです

可能性としてはトランプ大統領が述べていたように、イランの施設に対する限定爆撃が予想されます

一部のイラン国内の施設に対して、ピンポイントで空爆を行う可能性はあるでしょう

しかし現在のところは、地上部隊を投入する大規模な戦争は考えていないと思われます

一方のイランはどうかというと、強硬派な意見が進んでしまう可能性もあります

イランの最高指導者ハメネイ師は「厳しい復讐」を誓と宣言し、ロウハニ大統領も司令官の遺族を訪ね「アメリカの汚い手がこの地域から永遠に切り落とされたる時、血の復讐を果たす」と述べています

さらにイラン革命防衛隊のアブハムゼ将軍は、ペルシャ湾にいる米軍艦を攻撃する可能性を示唆しています

イランとしては、このままでは終わらない雰囲気を漂わせています

何らかのさらなる攻撃がイランから行われる可能性もありますし、これに乗じてイランとアメリカとを戦わせたい勢力が、裏で手を引いて、イランがやったように見せかけてアメリカへの攻撃を仕掛けてくる事も考えられるでしょう

そもそもイランとアメリカが、歴史的にどのような関係をおくってきたかを書いてみます

第二次世界大戦後のイランではイギリスの影響が大きく、英国資本のAIOC(アングロ・イラニアン・石油会社)が石油利権を独占していました

そしてほとんどイギリスに利益が持っていかれるため、イラン国内では石油による恩恵を国民が享受できませんでした

この現状を打開しようと、1951年イランの当時のモサデク首相は石油を国有化しようとします

イラン国民の熱狂的な支援を受けるのですが、1953年にはアメリカのCIAやイギリスの諜報機関によってクーデターが計画され、モサデク首相は失脚させられます

その後にアメリカの後ろ盾で王政を敷いたのがモハンマド・レザ・パフラヴィ王でした

親米のパフラヴィ王は秘密警察を駆使して、次々と政敵を排除していきます

こうした圧政の中でイランではイスラム教指導者のホメイニ師が台頭してきますが、国外追放となります

そしてイラン国内では親米政権の圧政に国民たちは怒り、パフラヴィ王を追放してしまいます

ホメイニ師が亡命先のパリから帰還し、1979年にはイラン革命が起こります

これによってイランでは反米政権が起こり、現在に続いていきます

こうした過去における英米の自国優位で身勝手なやり方によって、イランは振り回され、不幸になっていた歴史があるため、いまだに反米意識は高いです

その後もイランイラク戦争が起こった時にも、アメリカはイラクを支援し、イランと敵対関係になるなど、両国の因縁は深いものとなっています

このように歴史的に難しい問題をはらんでいますが、何とか両者は歩み寄りを見せるべきでしょう

イランも海外に勢力を広める野心があったでしょうし、アメリカも自国の都合で他国を不幸にしていた事実もあると思います

どちらも言い分はありますが、両者は対立を乗り越える必要があります

対立の根底には宗教的な理解の不足や誤解が含まれているでしょう

両者にバランスをもたらす役割を、日本が担っていく事を願っています

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1 件のコメント:

  1. イランは国内で反政府デモが続いているところにこのような事態が起こってしまいましたね。イラン政府の思惑として反米感情で国民を纏めていく、とならなければいいなと思っています。
    軍事は全然わからないのですが、仮に戦争になったとしてイランが望むようなシナリオというか落とし所は何でしょうか…。
    アメリカもトランプ氏は戦争を望んではいないと思っているので、回避されることを切に願います。

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